60グラムの命
時折ボラに来てくれる方から電話が鳴ってまして。
ちょうど歯医者に行ってた時にかかってて、
珍しいな…と思いつつ掛け直してみました。
「こんにちは! どうしたんですか⁇」
「実は家の玄関前に猫が子猫を産み落として行ってしまって… どうすればいいですか(ToT)」
「!?!? えと… 状況教えて下さい(;・・)」
「子猫の声がするなぁと覗いて見たら子猫がいて… へその緒、胎盤もついてて、羊水で濡れてます。あと血もついてます。産まれたてです…」
まーじーでー。
「お母さんが迎えに来ると思うので、しばらく陰から様子を伺ってて下さい!
でも、迎えに来ない事も考えられるので、その時にはもう一度連絡下さい!!」
保護主さんは見守りつつ、保健所にも連絡してくれたようで。
でも保護は出来ないとの回答だったそう。
これについてはいろんな意見や考えがあるけれど、今はそこを議論してる場合じゃない。
子猫は今、生きるか死ぬか。
しばらくたって保護主さんから電話がありました。
「母猫、迎えに来ないです(;_;) しかも近所の野良猫が転がしておもちゃにしだしたので保護しました。」
それから保護主さんは動物病院に走り、子猫の体が大丈夫かどうか診察に行ったそうです。
病院でへその緒の処置をしてくれたそうですが、初乳も飲んでないしどうせ育たないだろう…と言われたそうです。
って、やる前から諦めるなよー。
いてもたってもいられないので、ボラ仲間を誘って様子を見に行きました。
ありとあらゆるアイテムを持って行きましたが、見た瞬間
「ちっさ!!」
60ぐらむ。
これまで授乳してきたけど、産まれて数時間の授乳は初だーヽ ( ꒪д꒪ lll)ノ
とりあえずシリンジでミルク飲ませました。
人間が出来る事なんて、ほんとちっぽけな事だけど、それが子猫の命が繋がる手助けになれば。
頑張ってくれ。
60グラムがこんなに重く感じた事はなかったです。
この子が確かにこの世に存在する証として、保護主さんに名前を付けてもらいました。
ももちゃん。
保護主さんと話をするうちに母猫の状況も分かってきました。
保護主さんの近所のエサやりさんが、猫数匹を残して引越ししてしまったそうです。
母猫はその中の1匹のようだと。
しかも最近寝床にしてた場所も猫が入れないようになってしまったそうです。
母猫はきっと子猫を産む場所を見つけられないまま産気づいてしまい、保護主さんの玄関前で産み落としてしまったのでしょう。
普通であれば野良猫が人間の目につく場所で産むはずありません。
外敵に襲われる可能性もありますしね。
こんな過酷な環境で野良猫は子猫を産み育て、生きているのです。
人間だったら手厚い医療の元、万全の体制で出産に挑みます。
でも動物はたった1人で、自分の命をかけて命を紡ぎます。
そんな過酷な環境で生き抜く必要ってあるんでしょうか。
みんな暖かな家があって、毎日新鮮な水が飲めて美味しいゴハンが食べられる環境にならないかな。
ももちゃんのお母さん。
あなたの子供は確かに預かりました。
あなたの代わりは完璧には出来ないけど、出来る限りの力を尽くします。
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